(イタリアン)カノビアーノ
「リストランテ カノビアーノ」☆☆☆☆
住まい近くにある栗の樹は毎年六月の頃に、白く長く見える髭のような柔らかな花を咲かせる。ほとんど手入れもされない荒れた栗林であるが、十月の今は岐枝の裂けた毬(いが)の中に、艶やかな赤茶色の秋の実りを見つけることができる。いつのまにか連れが「栗のニョッキ」に拘る季節となっていた。
連れがレストランの予約がとれたと言う。くだんのレストランは彼女のリクエストに応じて「栗のソースのニョッキ」を提供してくれるそうだ。十月の初旬、代官山にあるイタリア料理店「カノビアーノ」を訪れてみた。
東急東横線の代官山駅から歩いて五分ほど、瀟洒なビルの地下にそのレストランはあった。モダンな店内は、厨房を取り囲むようにL字型のホールとなっており、案内されたのは一番奥にあるテーブル席である。まだ先客は一組だけのようで、寛いで食事が楽しめそうだ。
食前酒はグラススプマンテ(千二百円)、連れは巨峰のカクテル(千五百円)を頼んだ。このレストランのディナーコースは六千五百円と八千円とがある。当日はリクエストした「栗のソースのニョッキ」(二千四百円)に、八千円のコース料理を注文することにした。白ワインは「コルネル ゲヴェルツトラミナール」(一万円)を貰う。本日供された料理はつぎのとおりだ。
前菜「しま海老とカラスミの冷製カッペリーニ」
冷されたフォークと共に運ばれた店のスペシャリテは、細めの麺に絡まった酸味のきいたトマトソースの風味が広がる。まったりとしたシマエビの甘みと、散らされたカラスミがアクセントとなった逸品だ。
本日の前菜「ホロホロ鳥の胸肉と野菜のサラダ」
サラダ材料は、カリフラワー、ブロッコリー、フルーツトマト、スナックエンドウ、百合根、オクラ、ベビーリーフなど多種に亘るものだ。
温かいオードブル「駿河湾産の赤座海老のグリル」
添えられた野菜は、九条葱、ポルチーニ茸、キャベツ、金針菜など。赤座海老とポルチーニ茸の相性のよさが際立った一品と感じられた。
おすすめのパスタ「子持ち鮎のスパゲッティーニ」
ソテーされた鮎の切り身は麺と絡め、鮎卵はソースに混ぜてあった。しろ菜、九条葱、蕪などの野菜も美味い。
追加のパスタ「愛媛県産栗のクリームソースのニョッキ」
栗のクリームソースには、風味豊かにざっくりと割られた和栗が入る。滑らかなニョッキは、名店『アッカ』のニョッキと比べても遜色のない出来栄えに思える。
魚料理「沼津港産イサキのポワレ」
京里芋のポタージュの上に盛られたイサキのポワレと野菜。白舞茸、壬生菜、牛蒡などの野菜の味わいは絶品だ。
肉料理「国産仔牛ロース肉のポワレ ジロール茸のソース」
グラスの赤ワイン(千五百円)と合わせた。添えられた野菜は、千両茄子、ウイキョウ、マコモ茸、ベビーコーン、京ほうれん草など。
「黒胡麻のティラミス」などのドルチェは連れに譲って、食後酒のグラッパ(千六百円)を貰う。このレストランの素材本来の風味を生かした優しい味わいの料理は、どれも大変美味しく思われた。ニンニク、唐辛子、バターを使用しないことにより、野菜の繊細な旨みが一層際立ったものに感じられる。担当された男性スタッフのサービスレベルもまずまずであった。本日は一点の妥協もないカノビアーノスタイルと称する料理に、ワインもすすんで楽しい夕餉の時を過すことができた。
ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。
http://www18.ocn.ne.jp/~gokujyou/
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