(韓国宮廷料理)銀座 南漢亭

「銀座 南漢亭」 ☆☆☆☆

 韓国家庭料理の店として高い評価を受ける荻窪の『南漢亭』が、更に高級な料理として韓国料理を特化させたレストランが「銀座 南漢亭」である。連休初めの昼下がりに、高名な交詢ビルは四階にある「銀座 南漢亭」を訪問してみた。

エントランスの壁は、幾何学的模様のダークブラウンのタイルで飾られ、無彩色なモノトーンを基調とした店のデザインからは、重厚で落ち着いた印象を受けた。ホールのキャパシティーは二十席ほどの小ぢんまりとしたレストランである。当日は連れが予約の時に禁煙席を希望した為か、一室しかない個室へと案内してくれた。

この店のランチコースは、二千二百円、三千八百円、五千八百円の三コースがある。当日は「花」という五千八百円のコースに、代表的な韓国宮廷料理の「九節板(クジョルパン)」二千五百円を追加して貰った。先ずは韓国の「ハイトビール」で喉を潤した。本日供された料理はつぎのとおりだ。

①山吹色をした「南瓜のお粥」は、もち米が擂り潰してある重湯状の飲む粥であった。甘さは控えめであるが、その色合いと同様に南瓜の風味はしっかり感ずることができた。

②「センチュ」とは、ドレッシングの代わりに薬膳のタレを使ったサラダである。野菜は水菜、サニーレタス、貝割れ菜、長葱スライスなどとパイナップルも添えられている。薬膳タレは酸味と辛味の効いたもので美味しい。

③「ナムル三種」は、キャベツ、ゼンマイ、ホウレン草である。メニューには「それぞれの野菜の味を十分に引き出す為に、それぞれ微妙に違う味付けがしてある」と説明が付されている。備前焼風の片口酒器になみなみと注がれた「二東マッコルリ」も運ばれる。甘酸っぱい濁り酒を、ぐびぐびとやりながら摘んだナムルは滋味豊かな一品であった。

④「ペチュ(白菜)キムチ」は、発酵が進んで酸味が強く感じられたが、私には塩気も強いように思えた。

⑤「チヂミ・煎(ジョン)」韓国の上品な伝統料理の煎(ジョン)は、豚肉、海老、ズッキーニの三種が供された。「煎」とは卵と小麦粉をつけて焼く韓国のお好み焼き。チョイスした「マッコルリビール」との相性は抜群だ。マッコルリビールとは、マッコルリ2に対してビール1をブレンドしたもの。

⑥「本日の逸品」とは、その日に仕入れた食材や季節に合った料理を供してくれるという。本日は「槍烏賊と新ジャガイモのジョリム(煮付け)」である。煮染められ、鼈甲色となった槍烏賊と大根は濃い味付けのようにも見えたが、大根やジャガイモに槍烏賊の風味がよく馴染んでいて美味しい。彩りに絹さやが添えられていた。

⑦牛肉と野菜を、サンチュ、サニーレタス、えごまの葉に包んで賞味する「プルコギ」は、プル「火」とコギ「肉」の語源に基づき、「銀座 南漢亭」では焼肉の状態で提供するとのことだ。下味をつけてから調理された三枚の和牛ロース肉は大変美味しく思われた。漢方薬が入っているというワイン風味の「百歳酒」もグラスで含んでみた。

⑧追加した韓国の宮廷料理「九節板(クジョルパン)」が運ばれた。九つに仕切られた八角形の器に盛られた料理である。陰陽五行説の五行配当に基づき、五味(辛・甘・酸・塩・苦)、五色(青・赤・黄・白・黒)を備えた料理だという。三つ葉、筍、牛肉、人参、絹さや、卵、椎茸、海老などを中央のミルチョンピョン(薄い小麦粉の皮)に巻いて食べる。トッピングで好みの味を組み合わせて、さっぱりとした爽やかな味わいを楽しむことができる。

⑨夏ばて防止の薬膳料理「参鶏湯(サムゲタン)」は、体にやさしいスープご飯だ。「味付けはしておりませんので藻塩を入れて下さい。」と告げられる。この料理は私の口に合い大層美味しく感じられた。

⑩「本日のデザート」は「生姜の団子」とナツメの実や松の実の粉末が入った「薬菓」と、薬用酒の「五味ゼリー」であった。

「医食同源、不老長寿」をコンセプトに、家族の健康を第一に考えつくられるという、滋味豊かな韓国料理は、どれも優しい味わいで美味しく感じられた。担当された二名のスタッフは親切丁寧でサービスレベルも高い。

帰り際に頂いた店長の名刺の裏面には、次のような言葉が書かれてあった。

「本日はご来店頂き誠にありがとうございます。韓国の料理文化を通じ、お客様と共に食の素晴らしさを分かつ事が出来る幸せを日々感じております。これからも味の伝統を守り、皆様に喜んで頂けるお店であれるよう努力して参る所存でございます。又のご来店を心よりお待ちしております。」

ホームページの「東京食道楽記(極上の味を求めて)」では、男女二人が、それぞれの視点から、食べ歩きの原稿を書き上げております。興味のある方はご覧になってください。
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(韓国料理)五穀亭

「コリアンダイニング 五穀亭」 ☆☆☆

 新宿京王プラザホテル南館二階にある、韓国料理店「コリアンダイニング 五穀亭(ごこくてい)」は、大変に使い勝手がよいと感じられ、度々利用しているレストランだ。

ダイニングの座席の間隔は非常にゆったりと設えられ、ホテルのレストランに見合った高い天井と相俟って実に居心地が良い。大韓民国上流の瀟洒な住まいをイメージした造形は、優しく柔らかな雰囲気を醸し出して落ち着けるものだ。四室の個室を含めたホールのキャパシティーは百二十席ほどであり、店内は分煙されている。四月下旬、日曜日の夕刻に訪問してみた。

以前は焼き物主体のディナーコースを注文していたのだが、三年ほど前に「美人(ミイン)コース」が登場してからは、私達はもっぱらこのコースとなった。その名のとおりコース「美人」とは、伝統的な韓国料理を土台にしながら、漢方の手法をふんだんに取り入れたヘルシーな食事であり、医食同源をコンセプトにしたものだ。勿論このレストランの焼肉も上等なものであるが、私は健康志向で新感覚なヌーヴェル・コリアンのコース料理を味わうことをお勧めしたい。

この店の夜のコース料理は九千円、一万二千円などの「焼肉コース」もあるが、今日も「美人コース」一万円を注文した。先ず韓国はオービーの瓶ビールで喉を潤した。本日供された料理はつぎのとおりだ。

「芝海老と柿酢醤油の春の小前菜」は三尾ほどの芝海老のフライと、焼いたウルメイワシ二尾を、レンゲに満たされた柿酢醤油で味わうものだ。ドリンクメニューの「黒豆マッコリ(どぶろく)」が気にかかり一合貰ってみたが、この酒の甘味とコクは小前菜とは合わぬものであった。

「生蛸の刺身と薬念葉の韓国前菜」白磁の皿に盛られた薄切りの水蛸の刺し身は、甘くて柔らかく、真蛸とは風味が全く異なるものだ。添えられたゴマ油と青唐辛子との相性もよく大変に美味しく感じられる。

「自家製三種のキムチ」は、「ペチュ(白菜)キムチ」、具の胡瓜や大根などを、漬け汁と一緒に味わう「水キムチ」、「ソウル大根」の三種類である。

「春魚の薬膳蒸しと香り葉の添え物」が白磁の小鍋に盛られて供された。鍋の具は大正海老、イトヨリ鯛、ホタテ、松の実、ナツメ、エディブルフラワー(食用花)、高麗人参などだ。味の印象が深く豊かなこの小鍋は私の口には大層合った料理であった。

男性スタッフが「ヌルンジ(お焦げのお粥)で御座います」と運んできたのは、「韓国伝統食、お焦げ汁」である。しかし椀の中身はただの白粥のようにも思えた。

 「春野菜と極上カルビの焼き物(プルコギ)」と「春の薬膳生野菜」、「麦ご飯」の三種が一緒に運ばれる。肉に下味をつけてから調理されているプルコギ(極上カルビ焼き)は、私には味付けが濃く、塩っぱいように感じられたが、麦ご飯と食べるオカズには丁度良いのかも知れない。

 「春の特製オリジナルデザート」は、餡の上に南瓜のアイスクリームと抹茶のクリーム、どら焼きの皮などが乗せられたものだ。苺や金柑の甘煮が添えられて、半透明な金柑ソースとアングレースソース(緩いカスタードクリーム)が掛けられていた。

 食後の飲み物は「韓国茶」か「コーヒー」の選択となるが、私達は何時ものように「韓国茶(ナツメ茶)」を貰った。

 この店は「バラエティー豊かなコリアンディナー」と銘打っているが、その名のとおり、本格焼肉や屋台料理、そして本日注文したヘルシースタイルな韓国料理など、多様性に富んだ食事を楽しむことができる。伝統的な韓国料理(コリアンスローフード)を土台に、現代人の嗜好に合わせて巧みに進化させたレストランである。

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(焼肉)「眞一館 新宿本店」

「眞一館 新宿本店」☆☆☆

格段に美味しい焼肉を供してくれる店が新宿にあるという。歌舞伎町にある「眞一館」という炭火焼肉の韓国料理店だ。噂を頼りに花見の帰り道に立ち寄ってみた。

黄昏時、店の近くでタクシーを降りると、街はひっそりと静まりかえって人通りも疎らである。この街に営業本部を設け居酒屋店舗を展開している堅気の知人経営者は、環境浄化政策で歌舞伎町には閑古鳥が鳴いて、店の売り上げが半減してしまったと嘆く。

ここの一帯には雑多な飲食店舗や、ホストクラブやラブホテルの看板などが目立つ。訪れた店は、この界隈で既に三十年以上も営業されてきた韓国料理店である。店先に掲げられた牛肉の生産者番号シールなどから、この店の牛肉に対するこだわりの強さが窺えた。

全室が個室の店は、一階がテーブル席で地下と二階が座敷となっている。店内の様子は、もう今は昔となってしまった昭和の時代を彷彿とさせるものだ。案内された一階テーブル席の二人用の個室は、小ぢんまりとした空間であるが、どこか懐かしい感じでもあり居心地は良い。

私にとって牛肉の料理といえば、やはり「すき焼き」か「焼肉」であり、高級店の「ステーキ」はどこか嗜好に合わないことも多い。連れと相談しながら「焼肉」の献立を決めた。この店の熟年マネージャーと若い男性スタッフの物腰は非常に丁寧で好感がもてる

サービスで突き出しの「トーフ韓国式」が供される。先ずは生ビールで渇いた喉を潤した。参考までに当日注文した料理と価格を表記しておく。

「スペシャルロース」(黒毛和牛)三千二百円×2

「スペシャルカルビ」(黒毛和牛)三千二百円

「スペシャルタン塩」(黒毛和牛)二千九百円

「サンチュ盛合せ」八百円

「キムチ」四百五十円

「ポッサムキムチ」(二分の一)六百円

「特選石焼ビビンバ」千五百円

「パジョン」千二百円

炭火で焼く牛肉からは、芳醇とした香りが立ちのぼる。評判の「スペシャルタン塩」は、歯応えの良さと旨さが際立つ逸品であった。黒毛和牛の「スペシャルロース」と「スペシャルカルビ」は、極めて上質のもので大変美味しく感じられた。当然、カルビもロースも蕩けるような味わいであったが、私はロースの方がより旨いと思えた。

ビールで腹がくちくなると、「マッコリ」(二合六百円)という韓国の濁酒を飲んだ。焼肉を頬張りながら、甘みと酸味の白濁した酒を含むとこの上もない幸せを感じる。辛さは控えめの「キムチ」は、発酵がすすんで酸味の強い味である。キムチの王様といわれる「ポッサムキムチ」は、烏賊や帆立などの魚介類と、松の実・林檎・ナツメなど、白菜で包まれた山海の幸は、なかなかの味だと思えた。

「石焼ビビンバ」は、厨房で石鍋を火に掛け過ぎてしまった様で、御飯の焦げ具合が強過ぎて歯応えが悪くて不味い。添えられたナムルなどの美味しさやコチュジャンの風味も台無しであった。

「パジョン」とは葱を使ったお好み焼き(チヂミ)のようなものだ。長葱、大蒜、唐辛子、醤油などで作った特製タレにつけて食べる。しっとりと焼きあがって大変美味しく感じた。このパジョンを肴に、止めた筈のビールを追加してグビリグビリとやった。

 事前の情報が少しは役立ったのか、帰り際に韓国人マネージャーから「理想的な御注文の仕方で御座いました。」とお褒めの言葉を頂戴する。その四日後に社用で、叙々苑レストランで会食する機会があった。その勘定の額は「眞一館」と差異はない。私には「眞一館」の焼肉の方が格段に旨かったように感じられた。

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